「1円で株が買えるなら、初心者でも手軽に投資できるのでは?」と感じたことはないでしょうか。
実際に極端な安値で取引される銘柄は確かに存在しますが、安いというだけで飛びつくのは危険かもしれません。
なぜなら、そこには想像以上に大きなリスクや落とし穴が潜んでいるからです。
本記事では「1円で買える株」について、投資初心者が気を付けるべきポイントをわかりやすく解説します。
ほんのわずかな値動きで大きな損失を被る恐れがある一方、実は少額投資を安全に行う他の選択肢も用意されています。
初心者の方が安易に「安い=得」というイメージを抱いてしまうと、後悔につながる可能性が高まるでしょう。
これから株式投資を始める方や「どうして1円株は危ないの?」と疑問を持っている方に向けて、押さえておきたい3つの落とし穴を丁寧に解説していきます。
1円で買える株は理論上は存在する
理論上、株価が1円の株式は確かに存在します。
株価は複雑な要因の相互作用によって決定され、極端な状況下では1円にまで下落する可能性があります。
しかし、実際の市場では1円での取引は極めて稀で、ほとんど見られません。
株価が1円まで下落する主な要因としては以下の通りです。
- 深刻な財務危機
- 倒産の危険性
- 業界全体の衰退
- 大規模な不祥事や法的問題
- 市場の極端な悲観
などが挙げられます。
このような状況下にある企業の株式は、投資家にとって非常にハイリスクな選択肢。
また、1円株への投資は、以下のリスクを伴う可能性があります。
- 完全な投資損失の可能性
- 上場廃止による流動性の喪失
- 価格操作の対象となるリスク
- 企業再生の不確実性
一方で、一部の投資家は極端に安価な株式に投機的な魅力を感じることがあります。

投機とは、簡単にいうと、短期間で大きな利益を得ようとする投資の方法のこと。
しかし、短期的な価格が変動することを予想したうえで行う投機は、高度なリスク管理と市場分析スキルを必要とし、一般投資家にはおすすめできません。
僕みたいな個人投資家ならなおさらです。
結論として、1円株は理論上存在し得るものの、実際の投資対象としては極めて稀で、大きなリスクを伴います。
投資家は自身のリスク許容度と投資目的を慎重に考慮し、自分の目的に合った投資判断を行うことが重要ですね。
実際に1円で株を購入するのが難しい理由


1円株を理想的な値段で買うことは、理論上は不可能ではありません。
とはいえ、実際には市場の流動性や最低売買単位など、様々な壁が存在するため難しいです。
具体的には以下3つの理由が挙げられます。
- 上場廃止に伴い市場で株を購入できなくなる
- ちょっとした注文で株価が動いてしまう
- 1円で売ってくれる人がいない可能性がある
上場廃止に伴い市場で株を購入できなくなる
実際に1円で株を購入することは、ほぼ不可能と言えるほど困難です。この背景には、日本の株式市場における規制や取引の仕組みがあります。
まず、日本の証券取引所では、株価が極端に低下した場合、上場廃止となる基準が設けられています。
そのため、1円まで株価が下落する前に、ほとんどの場合、上場廃止処分を受けることになるでしょう。つまり、株を購入することができません。
仮に1円台の株式が存在したとしても、そのような企業は深刻な財務問題や経営危機に直面している可能性が極めて高く、お勧めできません。
例えば、2008年のリーマンショック時に、アメリカの大手金融機関リーマン・ブラザーズの株価が1ドルを割り込んだ後、まもなく破綻。
2008年は、1ドルあたり約103.36円。0.12ドルは約12.4円になります。


実際リーマン・ブラザーズの株価推移を見た時に、0.12ドル(約12円)以下で購入するのは、タイミング的に見て非常に難しいと思います。



そもそも「よし、買ってやる!」というメンタルになれるでしょうか?
理論上は1円で株式の購入が可能でも、実際にはほぼ不可能と言えそうです。
ちょっとした注文で株価が動いてしまう
取引量の少ない銘柄では、わずかな注文だけでも株価が大きく揺れ動く可能性があります。
特に1円水準の低位株は、実際の出来高が非常に限定的です。
注文板も薄いため、数百株や数千株程度の発注が重なれば、瞬く間に株価が2円や3円へ飛んでしまうことがあるでしょう。
売り注文価格 | 売り株数 | 買い注文価格 | 買い株数 |
---|---|---|---|
3円 | 300株 | 1円 | 100株 |
2円 | 500株 | 0円 | 200株 |
1円 | 200株 | – | – |
たとえば新たに「1円で400株買いたい」という注文を出すケースを考えます。しかし、1円で売りに出ている株数は200株しかありません。
残りの200株分は次に安い2円の売り注文にぶつかるため、いきなり2円で約定する可能性が高いです。
わずか400株の買い注文でも、1円の売りをすべて消化した時点で株価は2円へ跳ね上がり、想定より高い価格で買い付けることになりかねません。
上記のように、1円で買えるような低位株は「狙った金額でまとめて買いたい」と思っても、売り注文が少ないために一気に価格が動いてしまうリスクがあります。



大きな銘柄であれば、同じような注文量でも値動きは小幅に収まる場面が多いです。
しかし低位株の場合は、一度の取引が相場全体に与える影響が大きいため、タイミングを逃しやすい面があります。
さらに、買いたい価格で待っていたつもりでも、他の注文が先に成立してしまい、気づいたら希望とはかけ離れた価格に上昇しているケースも珍しくありません。
結果として、低位の魅力ばかりに注目して投資に踏み切ると、思わぬ急騰や急落に巻き込まれやすいでしょう。
1円で売ってくれる人がいない可能性がある
株価が1円まで下がってしまうほどの銘柄は、経営リスクや業績不振など深刻な問題を抱えている場合が多いです。
そのため、仮に保有している投資家が存在しても、あまりに損失が大きすぎるため売却をためらったり、そもそも買い手がつかないと諦めて塩漬け状態にしていたりするケースがあります。
さらに、1円で差し値を入れていても、売り手側がわずかでも高い価格を狙って2円や3円で注文を出している可能性が高いです。
結果的に「1円で買える」と思ったとしても、実際には希望の値段で取引相手が見つからず、売買が成立しないまま終わってしまうことも。
投資家にとっては少額の取引でも、企業の実態が極めて不安定な状況ならば、簡単には取引が行われない現実があるのです。
そのため、理論上は1円での購入が可能でも、実際には流動性と投資リスクが大きな障壁になるでしょう。
実は「1円で買える株」は危険


1円で買える株、いわゆる低価格株への投資には、高いリターンの可能性がある反面、重大なリスクが伴います。以下に主要な「3つの落とし穴を」まとめました。
- 倒産や上場廃止のリスクが高い
- 価格変動が大きい
- 流動性が低い
これらのリスクを十分に理解し、慎重に投資判断を行うことが重要です。
①倒産や上場廃止のリスクが高い
低価格株に投資する最大のリスクの一つは、企業の倒産や上場廃止の可能性が高いこと。
株価が極端に低いということは、多くの場合、企業が深刻な財務問題や経営問題を抱えている可能性を示しています。
例えば、数ヶ月前に1株1,000円台だったものが、100円台で購入できるとなったら、「何かあったのでは…?」と思うのが通常ではないでしょうか。
倒産リスクのある企業に投資することは、全額を失う可能性を含んでおり、投資家にとっては非常に危険です。



投資金額が少なければ損失は少ないですが、お金を失うことには変わりません。
さらに、上場廃止になった場合、売りたいときに簡単に売れなくなります。
このため、低価格の株を選ぶ際は、その企業の財務健全性や市場での評判、業界の動向をしっかりとチェックし、リスクに対する備えを怠らないことが重要です。
②価格変動が大きい
低価格株は価格が低いがゆえに、少しの市場の変動や投資家の感情によって株価が大きく動くことがあります。
たとえば、企業の業績発表や市場のニュース、あるいは経済全般の動向がダイレクトに影響します。以下のように同じ100円の上昇率でも、価格変動が大きく異なるのです。
- 100円の株が100円上昇:100%の上昇
- 5000円の株が100円上昇:2%の上昇
このため、低位株はちょっとした材料で株価が2倍になることもあります。



値動きが激しいものは、まさにギャンブル的な要素を含んでいる可能性があるので要注意です。
低価格株に関する投資は非常に投機的であり、短期間での大きな損失や利益が発生し得ます。
特に、日々の取引で高回転を狙うデイトレーダーなどにとっては魅力的ですが、一般投資家にとってはそのリスクを理解し、慎重に利用することが求められます。
十分な情報収集と冷静な判断力が不可欠です。
③流動性が低い
低価格株の流動性が低いというのは大きな投資リスクの一つです。
流動性が低いとは、株式の売買が活発でないため、希望するタイミングで売買が成立しにくいことを意味します。
これは、買いたい人と売りたい人の数が限られており、取引が滞ることが原因です。
例えば、以下のケースで考えてみるとわかりやすいと思います。
- レアなゲーム機 → 人気がなければすぐ売れない(流動性が低い)
- コンサートチケット → 人気アーティストならすぐ売れる(流動性が高い)
先のリーマンショックブラザーズの株価が約12円になってしまったら「買いたい!」と思う人が非常に減ると思います。流動性の低さを示していますよね。
このような流動性リスクは、株価の予測を難しくし、投資家にとって大きな圧力となります。
そのため、投資を検討する際には、取引量や市場での人気度を確認し、必要に応じて流動性の高い他の投資先を考慮することが賢明です。
1円で買える株に興味がある方からのよくある質問


1円で株が買えると聞くと、初心者でも簡単に儲けられるのではないかと期待しがちでしょう。
けれども、実際には多くのリスクが存在します。
ここからは、そんな1円株に関する代表的な疑問をピックアップし、それぞれのポイントを分かりやすく解説していきます。
- 1円株が1円から上がって儲かることはある?
- 少額投資なら1円株を狙うより他の方法もある?
1円株が1円から上がって儲かることはある?
1円株が突発的に値上がりする可能性は、理論上まったくゼロではないでしょう。
たとえば、業績不振で下落していた企業が新事業を発表し、市場の注目を浴びて株価が数倍に跳ね上がった事例も存在します。
とはいえ、こうしたケースはごく一部に限られますし、実際には不確定要素も多いはずです。
株価が低位に落ち込む企業は、上場廃止の危機に瀕していたり、財務状況が悪化していたりする場合が多いでしょう。
少しの材料が出たところで、長期的に見れば大きな成長エンジンがないケースも珍しくありません。
運良く株価が上昇して一時的に利益が出ても、急激に売りが増えて再び1円に近い水準へ下がるリスクは十分に考えられます。
結果として、値上がりして儲かるかどうかは企業の潜在力やマクロ経済の動向にも左右されるため、慎重に見極めることが欠かせません。
少額投資なら1円株を狙うより他の方法もある?
少額から投資を始めたいのであれば、1円株以外にもいくつか有力な選択肢が存在します。
まずは証券会社が提供する「単元未満株」の仕組みを利用すれば、上場企業の株式を1株単位で購入できるため、まとまった資金を用意できなくても取引を始めやすいです。
項目 | 1単元購入(100株) | 単元未満株取引(1株) |
---|---|---|
三菱商事の株価 (2025年3月7日現在) | 1株 2,553円 | 1株 2,553円 |
必要資金 | 約25万円(2,553円 × 100株) | 2,553円 |
例えば、三菱商事を1単元(100株)購入しようとすると、約25万円ほど資金が必要になります(2025年3月7日現在)。



しかし、単元未満株取引を使えば、1株2,553円で購入できます。意味のない飲み会に行くよりずっといいと思います。
また、株式以外にも投資信託やETFを使えば、幅広い銘柄に分散投資できるメリットがあるでしょう。
実際に、インデックス型の投資信託であれば、数百円や数千円から積立購入できるケースが多く、値動きのリスクを抑えながら長期的に資産形成を目指しやすいです。
リターンの大きさを追い求めるあまり、1円株のような極端に安い銘柄だけに注目すると、経営破綻や流動性の問題で思わぬ損失を被る可能性があります。
結果として、少額投資とはいえ余裕資金で堅実なプランを立てることが、初めて投資に挑戦する方にとっては望ましいでしょう。
まとめ
ここまで解説してきたように、「1円で買える株」だからといって手軽に儲けられるわけではありません。
流動性が低い銘柄は少しの注文で株価が急変動し、売りたくても売れないリスクを伴います。
さらに、値段が安いから安全とは限らず、倒産や上場廃止の可能性すら考慮しなければならないでしょう。
もし初心者が少額から投資を始めたいなら、単元未満株や投資信託といった選択肢を検討する方が無難です。
低位株の魅力は一発逆転のように見えても、長期的な利益につながらないケースが多いのが現実でしょう。
投資の世界には、魅力的な言葉や情報が溢れていますが、実際のリスクとリターンをしっかり天秤にかける姿勢が重要です。