投資を始めたいけれど、失敗が怖い。そんな不安を抱える人は少なくないでしょう。
実際、多くの初心者投資家は、基本的な知識不足や感情的な判断により、思わぬ損失を被ってしまいます。
しかし、投資における失敗の多くは、事前に防ぐことが可能です。
重要なのは、投資初心者が陥りやすい典型的な失敗パターンを理解し、それらを回避する方法を知ることでしょう。
本記事では、「投資初心者がやってはいけない15の行動」について、具体例を交えながら詳しく解説していきます。
これらを理解することで、投資初心者でも安心してスタートを切ることができるはずです。
投資初心者がやってはいけないこと15選
投資を始める前に「投資初心者がやってはいけないこと」について解説します。具体的には以下のとおりです。
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- 余裕資金以外のお金を投資に回す
- 投資の目的や計画を立てずに始める
- 投資の基本を学ばずに実践する
- 1つの銘柄や商品に集中投資する(分散投資の欠如)
- ハイリスク・ハイリターンの商品に安易に手を出す
- 投資商品の特徴やリスクを理解せずに購入する
- SNSやメディアの情報に惑わされて投資判断をする
- 専門家や金融機関の勧めをそのまま鵜呑みにする
- 感情的に売買をする
- 短期的な結果を過度に期待する
- 値下がりを恐れて早期に売却する
- 投資のルールを決めずに運用する
- 損失を取り返そうとして無理な投資をする
- 頻繁に売買をする
- 投資にかかるコストを考慮しない
これらの項目を理解し、実践することで、投資における失敗リスクを大幅に減らすことができるでしょう。
もし、「投資を怖い」と感じていたら、以下の記事もあわせて読んでおくのがおすすめです。

投資の基本を理解しないこと
投資を始める前に、基本的な知識や心構えを身につけることは非常に重要です。
投資初心者が特に注意すべき3つの基本的な失敗例について詳しく説明します。
- 余裕資金以外のお金を投資に回す
- 投資の目的や計画を立てずに始める
- 投資の基礎知識を学ばずに実践する
1. 余裕資金以外のお金を投資に回す
投資において最も重要な原則は、生活に必要な資金には決して手を付けないことです。
投資は必ず利益が出るとは限らず、場合によっては大きな損失を被る可能性もあります。
そのため、投資に使用する資金は、当面の生活に影響のない余裕資金に限定すべきです。
具体的には、
- 日々の生活費
- 住宅ローンの返済資金
- 教育資金
- 緊急時の予備費
などは投資には回さないことが重要です。
投資家の間では「命金(いのちがね)には手をつけるな」という格言があり、生活に必要不可欠なお金を投資に使ってはいけないという戒めを意味しています。
「命金(いのちがね)」とは、失うと命や生活に支障をきたす大切な資金のこと。
余裕資金の範囲内で投資を行うことで、精神的なプレッシャーを軽減し、冷静な投資判断が可能となるでしょう。
2. 投資の目的や計画を立てずに始める
投資を始める際には、明確な目的と具体的な計画を立てることが不可欠です。
なぜなら、目的や計画がないと、市場の変動に一喜一憂し、感情的な判断で投資を行ってしまう危険性が高まるからです。
投資の目的は、
- 老後資金の確保
- 子どもの教育資金の準備
- 資産形成
など、具体的に設定する必要があります。
また、目標金額、投資期間、リスク許容度なども事前に決めておくことが重要です。これらの計画を立てることで、市場の一時的な変動に左右されることなく、長期的な視点で投資を続けることができます。
投資は、闇雲に始めるのではなく、自分自身の人生設計に基づいた戦略的な取り組みとして位置づけるべきでしょう。

「手取り15万のままだとまずい…」という危機感から始めました。運用しながら目的を決めても大丈夫です。
3. 投資の基本を学ばずに実践する
投資の世界では、基礎知識を持たずに実践することは、大きな損失を被るリスクを伴います。
投資を始める前に、株式市場の仕組み、リスクとリターンの関係、分散投資の重要性、投資商品の特徴などの基本的な知識を身につける必要があります。
また、投資に関する情報は、書籍、セミナー、信頼できるウェブサイトなどを通じて継続的に学習することが大切です。
投資の知識を深めることで、市場の動きを理解し、より適切な投資判断を行うことができるようになるでしょう。
詳しくは、下記の勉強方法で基本を学んでみるのがおすすめです。


ほったらかし投資をしている、検討している方は、以下の記事にもおすすめ本を紹介しています。


リスク管理を怠ること
投資において、リスク管理は最も重要な要素の一つです。ここでは、初心者が陥りやすい3つのリスク管理の失敗例について説明します。
- 1つの銘柄や商品に集中投資する(分散投資の欠如)
- ハイリスク・ハイリターンの商品に安易に手を出す
- 投資商品の特徴やリスクを理解せずに購入する
これらの失敗を避けることで、投資の安全性を高めることができるでしょう。
4. 1つの銘柄や商品に集中投資する(分散投資の欠如)


投資で大切なことは、「卵を一つのカゴに盛るな」という考え方です。1つの投資先に資金を集中させることの危険性を表現した格言です。
例えば、ある1つの会社の株式だけに投資すると、その会社が業績不振に陥った場合、投資資金の大部分を失うリスクがあります。
そのため、複数の異なる業種の株式や、株式以外の投資商品(債券や投資信託など)にも分散して投資することが重要です。
さらに、投資先を国内だけでなく、海外にも広げることで、より効果的なリスク分散が可能となります。
分散投資は、一部の投資が損失を出しても、他の投資でカバーできる可能性を高めることができるのです。
5. ハイリスク・ハイリターンの商品に安易に手を出す
投資初心者にありがちな失敗の一つが、高い利益を求めてハイリスクな商品に手を出すことです。
FX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨などは、大きな利益が得られる可能性がある一方で、元本を大きく割り込むリスクも存在します。投資経験が豊富な人でも慎重に扱う必要があるものです。
初心者は、まず低リスクの商品から始めることが賢明です。
例えば、投資信託や上場投資信託(ETF)などの商品は、専門家による運用と分散投資の効果により、リスクを抑えながら投資を行うことができます。



S&P500やオールカントリーが上記の一例です。ただし、絶対に安全という意味ではありません。
投資は、まずは安全性を重視し、徐々にリスクの高い商品を検討していくべきでしょう。
6. 投資商品の特徴やリスクを理解せずに購入する
投資商品には、それぞれ固有の特徴とリスクが存在します。
例えば、株式は企業の業績や市場環境によって価格が大きく変動する可能性があり、債券は金利の変動による影響を受けます。
商品の特徴を理解せずに投資を始めると、予期せぬ損失を被る可能性も。
投資を始める前には、以下の3つは最低限目を通しておきたいところです。
- 商品の仕組み
- リスクの種類
- 過去の価格変動の傾向
また、投資にかかる手数料や税金についても事前に確認が必要です。たておば、株式等によって生じる利益には、約20%の税金が発生します。
商品の特徴を理解することで、自分の投資目的やリスク許容度に合った適切な投資判断が可能となるでしょう。
情報・判断を誤ること
投資において、適切な情報収集と冷静な判断は成功への重要な鍵となります。
しかし、初心者は様々な情報に振り回されたり、感情的な判断をしがちです。
以下では、情報収集と投資判断に関する3つの重要な注意点を解説していきましょう。
- SNSやメディアの情報に惑わされる
- 専門家や金融機関の勧めをそのまま鵜呑みにする
- 感情的に売買をする
7. SNSやメディアの情報に惑わされる
現代では、SNSやインターネット上で投資に関する情報が溢れています。
しかし、これらの情報の中には、根拠が不明確なものや、誤った情報があることも多いです。
特に、SNS上での「お勧め銘柄」や「必ず儲かる投資法」といった情報には要注意です。
また、ニュースやメディアの報道は、往々にして極端な見方や一時的な現象を大きく取り上げる傾向があります。
投資判断には、複数の信頼できる情報源からの情報を比較検討することが重要です。
企業の決算報告書や、経済指標などの客観的なデータを重視し、噂や風説に惑わされない姿勢を保つことが大切でしょう。



筆者は、日本のメディアだけではなくWSJを活用して、より客観的な情報を集めるようにしています。
8. 専門家や金融機関の勧めをそのまま鵜呑みにする
証券会社や金融機関の営業担当者、投資アドバイザーからの提案は、一見信頼できるように思えます。
しかし、これらの提案には、手数料収入を得るための営業的な側面が含まれていることを忘れてはいけません。
また、専門家の意見も、必ずしも将来の市場動向を正確に予測できるわけではないのです。
金融機関からの提案を受けた際は、以下の点に注意してください。
- その商品が自分の投資目的やリスク許容度に合っているか
- 手数料はどの程度かかるのか
- なぜその商品を勧めているのか
上記の点を批判的に検討する必要があります。
最終的な投資判断は、自分自身の理解と判断に基づいて行うべきですが、その場の雰囲気に流されないようにしましょう。
9. 感情的に売買をする
投資において、感情的な判断は大敵です。株価が上昇している時の興奮や、下落時の焦りから、冷静さを失って判断を誤ることは少なくありません。
例えば、株価が急落した際のパニック売りや、値上がりを見て焦って追いかけ買いをしてしまうケースがよく見られます。



2024年8月の株暴落影響で、新NISA初心者の3割がパニック売りをしました。
このような感情的な売買は、「高値で買い、安値で売る」という最悪の結果を招きかねません。
投資は、事前に決めた投資計画に従って、冷静に判断することが重要です。
市場の一時的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けることが、成功への近道となるでしょう。
短期志向で投資をすること
投資において、短期的な利益を追求する姿勢は大きな失敗を招く原因です。ここでは、投資の時間軸に関する2つの重要な注意点について解説します。
- 短期的な結果を過度に期待する
- 値下がりを恐れて早期に売却する
短期志向の投資がなぜ危険なのか、具体的に見ていきましょう。
以下の記事も参考にしてみてください。


10. 短期的な結果を過度に期待する
投資で成功するためには、適切な時間軸を持つことが重要です。
多くの初心者は、数週間や数ヶ月で大きな利益を得ようと考えがちですが、これは非常に危険な考え方です。
株式市場は短期的には上下に大きく変動することがありますが、長期的に見ると着実な成長を遂げてきた歴史があります。


例えば、日経平均株価は短期的には大きく変動していますが、10年、20年という長期で見ると上昇傾向にあります。
投資は、複利効果を活かすことで、時間とともにリターンが大きくなっていく特徴があります。
短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けることが、安定した資産形成への近道となるでしょう。
11. 値下がりを恐れて早期に売却する
株価が下落すると、多くの投資家は損失を確定させないようにと焦って売却してしまいます。
これは「損切り」と呼ばれる行動ですが、往々にして最悪のタイミングでの売却になりやすいです。
特に、投資経験の浅い初心者はやっていけない行動と言えるでしょう。
市場は常に上下動を繰り返しており、一時的な下落は投資につきものです。
重要なのは、投資先の本質的な価値が損なわれていないかどうかを見極めること。
例えば、優良企業の株式であれば、一時的な株価下落は新たな買い増しの機会とも考えられます。
パニック売りを避け、冷静に状況を分析することで、より良い投資判断が可能となるでしょう。



コロナ禍で初めての暴落を経験したときに、焦って丸紅の株を手放してしまいました…。
投資の計画を無視すること
投資において、明確なルールと計画を持つことは非常に重要です。
しかし、多くの初心者投資家は感情的な判断や市場の変動に惑わされ、自身で決めたルールを破ってしまいます。
以下では、計画性の欠如がもたらす2つの重大な失敗例について説明していきましょう。
- 投資のルールを決めずに運用する
- 損失を取り返そうとして無理な投資をする
12. 投資のルールを決めずに運用する
投資において、明確なルールを持たずに運用することは、大きな損失を招く原因となります。
例えば、
- 「いくらまで値下がりしたら損切りするか」
- 「いくらで利益確定するか」
といった具体的な基準がないと、特に投資初心者は感情的な判断に流されやすくなってしまいます。
また、投資の目的や期間、リスクの許容範囲なども事前に決めておく必要があるでしょう。
ルールがないと、市場が上昇している時は欲が出て売り時を逃し、下落している時は不安から早まった判断をしてしまいます。
投資を成功させるためには、冷静な判断ができる環境を整え、具体的な数値目標を設定することが大切です。
13. 損失を取り返そうとして無理な投資をする
損失を被った際に冷静さを失い、その損失を取り返そうとして更なる無理な投資をしてしまう行為は、投資初心者がやってはいけない行動の一つです。
この行動は「コンコルド効果」と呼ばれる心理現象の一つで、すでに投じた資金への未練から、さらなる損失を重ねてしまう結果となります。
例えば、株式投資で損失を出した後、その穴埋めのためにリスクの高い投資や借金をして投資を行うケースがあります。
このような行動は、冷静な判断力を失わせ、さらなる損失を招く悪循環を生み出します。
損失が出た際は、一度立ち止まって投資計画を見直すことが重要でしょう。
投資のコストを考えないこと
投資において、利益だけでなくコストを意識することは非常に重要です。
多くの初心者は、取引手数料や税金などの諸経費を軽視しがちです。
以下では、コストに関連する2つの重要な失敗例について解説していきます。
- 頻繁に売買を繰り返す
- 投資にかかるコストを考慮しない
14. 頻繁に売買を繰り返す
頻繁な売買取引は、手数料や税金などのコストを増加させ、長期的な投資リターンを大きく低下させる原因となります。
例えば、株式取引では売買の度に手数料がかかり、利益が出た場合には税金も発生します。
短期的な値動きに一喜一憂して頻繁に売買を繰り返すと、たとえ個々の取引で利益が出ても、最終的にはコストが利益を相殺してしまう可能性が高いのです。
投資は長期的な視点で行い、不必要な売買を避けることが賢明です。
15. 投資にかかるコストを考慮しない
投資にかかるコストを正しく理解せずに始めることは、期待するリターンを得られない大きな原因です。
投資には、取引手数料だけでなく、口座管理料、信託報酬、税金など、様々な費用が発生します。
特に投資信託では、運用管理費用(信託報酬)が毎年継続的にかかるため、長期的な運用成果に大きな影響を与えます。



信託報酬は、保有商品の目論見書で確認できます。商品を買う際に必ず目を通しましょう。
また、不動産投資では、固定資産税、修繕費、管理費など、定期的に発生する費用を考慮する必要があります。
これらのコストを事前に把握し、投資判断に組み込むことが重要でしょう。
投資初心者がやるべき3つのこと


投資を始める際には、避けるべきことを知るだけでなく、積極的に実践すべきことも理解しておく必要があります。
ここでは、投資初心者が必ず実践すべき3つの重要なポイントと、補足として効果的な投資方法について解説していきましょう。
- 少額から投資をする
- 投資の基礎知識を学ぶ
- 長期・積立・分散の原則を守る
少額から投資をする
投資は、決して大金を必要とするものではありません。むしろ、初心者は少額から始めることで、リスクを抑えながら投資の実践的な学習ができます。
例えば、投資信託では月々1万円から始められる商品も多く存在します。
少額から始めることで、値動きに一喜一憂せず、冷静な判断力を養うことができるでしょう。
また、投資に慣れてきたら、徐々に投資額を増やしていくことも検討できます。
大切なのは、自分の経済状況に合わせた無理のない金額から始めることです。


投資の基礎知識を学ぶ
投資を成功させるためには、基礎知識の習得が不可欠です。
まずは、株式市場の仕組み、リスクとリターンの関係、分散投資の重要性などの基本的な概念を理解する必要があります。
これらの知識は、書籍やオンラインセミナー、信頼できる投資情報サイトなどで学ぶことができます。
また、投資用語の意味や、各投資商品の特徴についても理解を深めておくことが重要です。
知識を身につけることで、より適切な投資判断が可能となるでしょう。


長期・積立・分散の原則を守る
成功する投資家に共通する重要な原則が、「長期投資」「積立投資」「分散投資」の3つです。
長期投資は、市場の短期的な変動に左右されず、複利効果を最大限に活用できる利点があります。
積立投資では、定期的に一定額を投資することで、市場の上下に関係なく平均的な価格で投資することができます。
分散投資は、複数の資産や地域に投資することで、リスクを軽減する効果があります。
これらの原則を組み合わせることで、安定的な資産形成が期待できるでしょう。



投資は、2〜3年の短期的な付き合いではなく、一生をかけて共にしていくパートナーのようなものと捉えておくといいかもしれませんね。
補足|投資初心者はインデックス投資でOK
投資初心者には難しいことは抜きにして、インデックス投資から始めればいいと思います。
インデックス投資とは、「株式全体を丸ごと買う」ようなものと捉えておくといいでしょう。
この投資方法には、以下のような大きな利点があります。
インデックス投資の3つのメリット
- コストが安い
運用手数料が少なくて済むため、長期的な収益が期待できます。 - 失敗が少ない
市場全体に投資するので、大きな損失を避けやすいです。 - 手間がかからない
個別の株式を選ぶ必要がなく、自動的に運用されます。
まず、運用コストが低いことが挙げられます。インデックスファンドは、運用管理費用(信託報酬)が一般的なアクティブファンドの3分の1程度に抑えられるのです。
次に、分散投資が自動的に行われる点も魅力です。
例えば、TOPIXに連動するインデックスファンドであれば、東証に上場している約2,000社以上の企業に自動的に分散投資されることになります。特定の企業の業績悪化などのリスクを軽減することができるでしょう。
さらに、長期投資に向いているという特徴もあります。
市場全体の動きに連動するため、短期的な値動きに一喜一憂する必要がなく、着実な資産形成が期待できます。
このように、インデックス投資は、低コストで分散投資が可能であり、長期的な資産形成に適した投資方法と言えるでしょう。
初心者が投資を始める際は、まずはインデックス投資から始め、投資の経験を積んでから他の投資方法を検討することが賢明です。
まとめ
投資初心者がやってはいけない15の行動について、詳しく見てきました。
これらの失敗を避けるためには、まず投資の基本を理解し、長期的な視点を持つことが重要です。
特に初心者におすすめなのが、インデックス投資からスタートすることでしょう。
市場全体に分散投資ができ、運用コストも低く抑えられるため、安定的な資産形成が期待できます。
投資は、正しい知識と冷静な判断があれば、誰でも始められる資産形成の手段です。
本記事で紹介した「やってはいけないこと」を意識しながら、着実に投資を進めていきましょう。
まずは少額から始め、経験を積みながら投資の範囲を広げていくことが、成功への近道となるはずです。