株式投資で人生を大きく狂わせてしまう人々がいます。
ライブドアショックで350万円以上を失った年金生活者、メルカリ株で700万円の損失を抱えた投資家、信用取引で3000万円を失った会社員など、その事例は後を絶ちません。
しかし、これらの失敗には共通するパターンがあります。過度なリスクテイク、感情的な投資判断、知識不足、集中投資、そして不明確な投資目的です。
では、なぜ投資家たちはこれらの失敗を繰り返してしまうのでしょうか。
その背景には、投資に対する誤った認識や、短期的な利益を求める心理が潜んでいます。
本記事では、実際の失敗事例を分析しながら、投資で致命的な失敗を避けるために必要な考え方と具体的な対策を解説します。
株で人生終わる人に共通する5つの原因
株式投資で人生を大きく狂わせてしまう人々には、いくつかの共通する特徴があります。以下に、投資で致命的な失敗を招く5つの主な原因をまとめました。
- 過度なリスクテイク
- 感情的な投資判断
- 知識・経験不足
- 1つの銘柄への過度な集中投資
- 投資目的が不明確
これらの原因を理解し、適切な対策を講じることで、投資での致命的な失敗を回避することができると考えています。
過度なリスクテイク
過度なリスクテイクは、投資家を破滅に導く最も危険な要因の一つです。
特に信用取引を過剰に利用し、自己資金以上の取引を行うケースが典型的です。
ある50代男性は、信用取引で一時2億円まで資産を増やしましたが、市場の急変で3000万円近い損失を出し、その後も30銘柄ほどをトレードして損失を重ねた結果、すべての資金を失い借金だけが残りました。
また、生活費や借入金を投資に回すことも重大なリスクとなります。会社名義で借りた1500万円を株式投資に回し、大損した事例もあります。
感情的な投資判断
感情的な投資判断は、合理的な判断を妨げ、大きな損失につながります。
典型的な例として
- 損切りができない
- 欲に駆られて冷静な判断ができない
- 「もう少し」という思考にとらわれる
などが挙げられます。
ある投資家は「自分は投資の天才だ」と勘違いし、市場が開く朝9時が楽しみでスマホに張り付く日々を送っていましたが、株価暴落により1ヶ月で700万円の損失を出しました。
感情的な判断は、適切な売買タイミングを逃す原因となり、結果として大きな損失を被ることになります。
知識・経験不足
投資に関する十分な知識や経験がないまま投資を始めることは、致命的な失敗を招く大きな要因です。
- 市場・経済動向の把握不足
- 投資商品の仕組みを理解せずに投資する
- チャート分析の誤った解釈
などが典型的な例です。
ある主婦は、証券会社の営業マンの勧めだけを信じて400万円をベンチャー企業の株式に投資し、結果として200万円もの損失を出しました。
投資の基本的な知識や市場の仕組みを理解せずに投資を始めることは、大きなリスクを伴います。
1つの銘柄への過度な集中投資
特定の銘柄に資金を集中させることは、致命的な失敗を招く重大なリスク要因です。
ひろゆきは、JALの株に2000万円を投資し、会社が経営破綻したことで大損しました。
それに日本の航空会社が潰れることはないだろうし、JALとANAの両方買っておけばどっちかは伸びるだろうと思って、それぞれまとまった額で買ったんですね。そうしたらJAL、潰れやがったんですよね(笑)。
引用:東洋経済 ONLINE ひろゆきが語る「人生で一番の投資失敗体験」
また、オンキョーに集中投資をした投資家は、債務超過による上場廃止で大きな損失を出しています。
1つの銘柄に集中投資すると、その企業が経営危機に陥った場合、投資資金のほとんどを失うリスクがあります。分散投資の重要性を示す典型的な例です。
筆者もとある米国株に投資をしたら-60%ほどの含み損をしましたが、分散投資のおかげでポートフォリオは+150%をキープしています。
投資目的が不明確
明確な投資目的やルールを持たずに投資を行うことは、失敗の大きな原因となります。
投資目的が不明確な場合、適切な投資判断ができず、感情的な売買に陥りやすくなるからです。
例えば、株価が上がった時の売り時や、下がった時の損切りラインを事前に決めていないために、大きな損失を被るケースが多く見られます。
また、「なんとなく」「有名な企業だから」という理由で株を買い、結果として失敗するケースも少なくありません。
昨今ではSNSで情報収集が用意となりました。自分の頭で考えず、そのまま情報を鵜呑みにしてしまうと判断を誤りやすいですね。
「株で人生終わった」と感じた人たちの実体験
株式投資で大きな損失を被り、人生に深刻な影響を受けた投資家たちの実例を見ていきましょう。
特に、ライブドアショックとメルカリ株での大損失は、多くの個人投資家に大きな教訓を残しました。
これらの事例は、投資リスクの重大さと適切な投資判断の重要性を示しています。
ライブドア株で350万円以上の損失
2006年1月、ライブドアの証券取引法違反事件で、22万人の株主が被害を受けました。その中でも、栃木県の63歳の年金生活者の事例は象徴的です。
月20万円弱の年金生活者だった彼は、老後の資金運用のため、メディア買収騒動時と総選挙後の2回に分けて1万株を購入。当時、自民党の応援や政治家の後押し、テレビ報道などを信用しての投資でした。
しかし、1月16日の強制捜査前に696円だった株価は、わずか数日で85円まで暴落。8分の1以下になった株価により、350万円以上の損失を被りました。
「機関投資家は損しないだろうが、私たちは報道を信じて投資した」と、後に語っています。
この事例は、政治家やマスメディアの影響力、そして個人投資家の脆弱性を浮き彫りにしました。
メルカリ株で700万円以上の損失
2023年、メルカリ株で大損失を出した投資家の事例も報告されています。
ある投資家は、決算が良好だったことを理由に3,020円でメルカリ株を購入しましたが、その後株価が急落し、700万円を超える含み損を抱えることになりました。
この投資家は住宅ローンも抱えており、生活に支障をきたす危機に陥りました。メルカリの株価下落は、米国事業での累計700億円の赤字や、国内事業でのアクティブユーザー数の減少が要因とされています。
投資家は決算の良さだけを見て投資を決めましたが、企業の成長性や事業リスクを十分に分析せずに投資したことが、大きな損失につながりました。
株で失敗しないための重要な5つのポイント
株式投資で成功するためには、いくつかの重要な原則を理解し、実践することが不可欠です。具体的には、下記5つがポイントになります。
- リスク許容度を理解する
- 分散投資を行う
- 長期的な視野を持つ
- パニックにならない
- 投資の勉強を継続する
上記の原則を守ることで、投資リスクを適切にコントロールし、安定的な資産形成を目指すことができるでしょう。
リスク許容度を理解する
リスク許容度とは、投資において損失を被った場合に、どの程度まで受け入れることができるかを意味します。
この許容度は、年齢、職業、家族構成、投資期間、投資目的などの違いによって大きく異なります。
例えば、若い独身の投資家は、家族を持つ中年の投資家よりもリスク許容度が高い傾向にあります。また、近いうちに住宅購入や結婚などのライフイベントを控えている場合は、リスク許容度が低くなります。
今回の例で言うと、33歳独身の筆者は、前者の「若い投資家」に当てはまりますので、リスク許容度が高いと言えるでしょう。
投資を始める前に、自身の状況を客観的に分析し、どの程度のリスクまで受け入れられるかを明確にすることが重要です。これにより、自分に合った投資戦略を選択することができます。
分散投資を行う
分散投資は、投資のリスクを下げるための最も重要な戦略の一つです。
「卵は一つのカゴに盛るな」という格言が示すように、資金を複数の投資先に分散させることで、特定の投資対象の下落による影響を軽減できます。
分散投資には、「資産分散」「銘柄分散」「時間分散」の3つの方法があります。
資産分散では、株式、債券、不動産など異なる資産クラスに投資を分散させます。
銘柄分散では、複数の企業の株式に分散投資。時間分散では、定期的な積立投資により、購入タイミングを分散させます。
これらの分散投資を組み合わせることで、投資リスクを効果的に抑制することができます。
筆者は、債券、不動産は持っていないですが、銘柄分散によってリスク軽減を意識しています。
長期的な視野を持つ
長期投資は、短期的な市場の変動に左右されにくく、安定的なリターンが期待できる投資手法です。
例えば、米国のS&P500指数に15年間投資を継続した場合、1年あたりのリターンの変動幅は大きく縮小し、元本割れのリスクも大幅に低減されます。
また、長期投資では配当などの収益を再投資することで複利効果も期待できるでしょう。
投資期間が長くなるほど、一時的な市場の変動による影響は小さくなり、企業の本質的な成長による利益を享受できる可能性が高まります。
そのため、短期的な相場の変動に一喜一憂せず、5年から10年以上の長期的な視点で投資を継続することが重要です。
投資で着実なリターンを上げるためには、現状の生活基盤を維持しつつ、毎月投資に回せる余力を作れる生活が必要なのかもしれませんね。
パニックにならない
株価の暴落時にパニックに陥らないためには、事前の心構えと具体的な対策が重要です。
まず、投資資金は余裕資金の範囲内に抑え、生活に支障が出ない金額に設定することが大切です。
また、暴落時の行動指針を具体的に決めておくことで、感情的な判断を防ぐことができます。
例えば、「日経平均が1万8000円台なら銘柄の入れ替えのみ、1万6000円以下なら預貯金で買い増し」といった具合です。
さらに、投資から意識をそらす自分なりの気分転換法を持つことも効果的です。
動画鑑賞やゲーム、散歩など、投資以外の活動に時間を使うことで、過度な心配や不安を軽減できます。
大きな損失を出した際は、1週間程度じっと静観することも賢明な選択です。「含み損=すぐに売らなければいけない」というわけではありません。
投資の勉強を継続する
投資の勉強を効果的に継続するには、自分に合った学習方法を見つけることが重要です。
書籍やブログ、セミナー、アプリなど、様々な学習手段の中から、自分の生活スタイルに合ったものを選択しましょう。特に初心者は、証券会社のサイトやオンラインの学習コンテンツを活用することで、基礎知識を無理なく身につけることができます。
詳しくは下記6つの方法から試してみてください。
継続的な学習のコツは、通勤時間などのスキマ時間を活用することです。
毎日30分程度でも、投資に関する情報をインプットする習慣をつけることで、着実に知識を積み重ねることができます。
また、投資日記をつけたり、学習したことをアウトプットしたりすることで、知識の定着を図ることもできますよ。重要なのは、無理なく続けられるペースで学習を進めることです。
株で失敗したくない人からのよくある質問
株式投資に関心を持ちながらも、失敗への不安から一歩を踏み出せない人は少なくありません。ここでは、投資初心者からよく寄せられる質問について、具体的な対応策と共に解説していきます。
- 株で失敗しても再起できる?
- 株にハードルを感じる場合はどうすればいい?
- 株で失敗する人はどのくらいの割合?
これらの不安を理解し、適切に対処することで、投資への心理的なハードルを下げることができます。
株で失敗しても再起できる?
株式投資での失敗から再起を果たした事例は数多く存在します。
ある投資家は、20代の間に株式投資やFX、映画投資、海外不動産投資など様々な投資で総額3億円以上を失いましたが、その後投資の本質について学び、原理原則に則った投資だけを行うようになりました。
結果、資産は10億円近くまで回復し、キャッシュフローも月々500万円以上を生み出すまでになりました。
再起の鍵となるのは、失敗を「負債」ではなく「資産」として捉え直すことです。
欧米では「失敗は成功へのパスポート」と考えられており、むしろ大きな失敗を経験した人の方が、より強くなれるという考え方が一般的です。
株にハードルを感じる場合はどうすればいい?
投資初心者が感じる主なハードルは、「投資資金がない」「知識・時間がない」「損をしたくない」の3つと考えています。
これらを克服するためには、まず少額から始めることが重要。現在は100円から投資信託の積立を始められる時代です。
また、投資の基礎知識については、証券会社が提供する無料セミナーやオンライン学習コンテンツを活用することで、無理なく身につけることができます。
損失への不安に対しては、分散投資や積立投資を行うことで、リスクを軽減できます。特に「ドルコスト平均法」は、株価の上下の影響を抑えて長期的に資産を増やすことができる、初心者に適した投資方法です。
それでもなかなか踏み出せない方は、「Funds投資」も参考にしてみてください。固定利回りで市場を気にする必要がないので、ほったらかしでも資産運用ができます。
株で失敗する割合はどのくらい?
金融庁のデータによれば、2024年3月末時点で、投資信託の運用損益がマイナスの顧客割合は約10%未満とされています。この数値は、2023年3月末時点の約30%と比較して大幅に改善しています。
特に、-50%未満の損失を抱える顧客はさらに少数派であることが確認。これは、2024年における株式市場の回復傾向が背景にあると考えられます。
一方で、損失が-10%から0%の範囲に収まる「軽微な損失」を抱える投資家も一定数存在します。
投資に失敗する主な原因としては、
- リスク管理の不足
- 情報収集の偏り
- 過剰な期待値設定
などが挙げられます。
今回の金融庁のデータから、株式投資の成功率を高めるには適切な知識と計画が必要であることが分かります。
特に、損失の割合を抑えるためにはポートフォリオの分散や定期的な見直しが重要です。
まとめ
株式投資での失敗は、適切な知識と準備があれば防ぐことができます。重要なのは、自身のリスク許容度を正しく理解し、分散投資を実践しながら、長期的な視野で投資を続けること。
また、市場の急激な変動時にもパニックに陥らず、冷静な判断を維持する心構えも必要です。投資に失敗しても、それを教訓として再起を果たした人々は数多く存在します。
失敗を恐れるあまり投資をためらうのではなく、少額から始めて徐々に経験を積み重ねていくアプローチが有効です。投資の学習を継続し、市場の理解を深めることで、投資は資産形成の強力なツールとなり得ます。
大切なのは、投資に対する正しい理解と、地道な努力を続ける姿勢です。